巷では”究極のアンチエイジングクリーム”とまで呼ばれている「ヒルドイド」。もともとは皮膚科などで処方される医薬品ですが、その保湿効果の高さなどから美容目的で使いたいと思う女性が増えているようです。そこで今回はヒルドイドの効果や成分、効果的な塗り方、ヒルドイドと同じ成分が入った市販薬についてもご紹介していきます。
ヒルドイドとは?
ヒルドイドとはどんな薬なのか、まずはその成分や特徴を詳しく見ていきましょう。また、ヒルドイドと同じ成分を含む市販薬についてもご紹介します。
主な成分は「ヘパリン類似物質」
ヒルドイドの主な成分は「ヘパリン類似物質」と呼ばれるもの。この名前を聞いてピンと来る人は少ないと思いますが、実は乾燥肌の治療に50年以上も前から使われている馴染み深い成分です。
ヘパリン類似物質は、その名の通り体内にあるヘパリンという物質に似た成分のことで、保湿や血行促進、抗炎症作用といった働きを持っています。肌の内側から新陳代謝を促すため、一般的な保湿剤とは違って乾燥肌を根本的に治療する効果があると考えられています。
昔から皮膚科の治療に用いられてきた成分ですが、近年になってその効果の高さが美容目的でも注目を集めており、ヘパリン類似物質を含むヒルドイドを保湿剤として使いたいと考える女性が増えているようです。
ヘパリン類似物質について|顔などの乾燥肌治療薬 さいき|小林製薬
赤ちゃんから大人まで使える
ヒルドイドは赤ちゃんから大人まで幅広い年代の方が使える薬です。赤ちゃんのおむつかぶれやあせも、アトピー性皮膚炎などの治療にも用いられています。
ヒルドイド(R) ソフト(ヘパリン類似物質)|塗り薬|赤ちゃん子どものお薬ガイド|新潟市秋葉区 小児科 たかのクリニック
皮膚科などで購入できる処方薬
ヒルドイドは保険適用の処方薬です。つまり、ヒルドイドを購入するためには皮膚科や形成外科などを受診した上で、お医者さんに処方してもらう必要があります。保険医療機関であれば、1本25gのものが200円程度で購入できます。
ヘパリン類似物質を含む処方薬は他にもありますが、「ヒルドイド」と呼ばれるのはマルホ株式会社から販売されているもの。ヒルドイドローション、ヒルドイドクリーム、ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドゲルの4種類があります。
代用品として使える市販薬は?
ヒルドイドを購入するにはお医者さんの処方が必要となりますが、なかなか病院へ行く時間がないという人も多いですよね。そこで、ヒルドイドと同じ「ヘパリン類似物質」を配合した市販薬についてもご紹介します。
以下の製品は、いずれも一般的な薬局やドラッグストアで購入でき、ヘパリン類似物質の含有量はヒルドイドと同じく0.3%となっています。
ノバルティス ファーマ「HPクリーム」
HPクリームはヘパリン類似物質を配合した乾燥性皮膚炎の治療薬。バリア機能が壊れてしまった皮膚を治療して健康な状態へと導きます。ステロイド無配合で無香料・無着色。
クリームタイプ(25g/60g)とローションタイプ(50ml)の2種類があり、局所的に使う場合はクリーム、広い範囲に使いたい場合にはローションタイプがおすすめです。
乾燥肌へHPローション 製品紹介:グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社
小林製薬「アットノン」
ヘパリン類似物質を配合した市販薬の中でも、アットノンは傷あと・やけどの痕などの改善を主な目的としています。透明ジェル・クリーム・ローションタイプの他に、肌色がついたコンシーラータイプもあるので、気になる傷あとの症状に合わせて選びましょう。
ロート製薬「ヘパソフトプラス」
ヘパソフトプラスは、乾燥による皮膚のかきむしりを改善する治療薬です。ヘパリン類似物質だけでなく、かゆみ止め成分を配合している点が特徴的。尿素・ステロイド無配合で、子供からお年寄りまで幅広く使用できます。チューブタイプ(50g)とたっぷり入ったジャータイプ(85g)の2種類。
ヒルドイドの効果や効能は?
ヒルドイドの概要がわかったところで、ここからはその効果や効能についてもう少し詳しく見ていきましょう。
高い保湿効果
ヒルドイドには高い保湿効果があり、カサカサとした顔や体に潤いを与えて、乾燥を和らげる働きがあります。そのため、肌の乾燥が起こる皮脂欠乏症(乾皮症)や指掌角皮症(いわゆる手荒れ)などの治療に用いられています。
ヒルドイドローション0.3%の効果・副作用 – 医療総合QLife
抗炎症作用もある
ヒルドイドゲルの場合、ヘパリン類似物質の抗炎症作用によって、患部の炎症を抑える働きもあります。打撲や捻挫、腱鞘炎や筋肉痛などの治療に使われています。
ヘパリン類似物質に抗炎症作用があるからか、よく「ヒルドイドはニキビにも効く」という口コミも見かけますが、はっきりとしたデータはないようです。むしろ傷や膿んでいる箇所に塗ると悪化する可能性もあるため、ニキビ治療に使用したい場合は必ず医師に確認しましょう。
血行を促進する働き
ヒルドイドには塗った箇所の血行を促進する働きがあるため、血行障害に基づく痛みや腫れを改善する効果があると言われています。しもやけや凍傷、ケロイドの予防と治療などに用いられます。
美容への効果も期待されている
その保湿効果の高さから、ヒルドイドを美容目的で使う女性も近年増えています。特に皮膚の乾燥に対して効果を発揮するため、化粧水や乳液の代わりに保湿剤として使っている乾燥肌の女性が多いようです。
中には「乳液の代わりにヒルドイドを顔に塗ると肌がつるつるになる」、「高価な美容液や美容クリームよりも効き目がある」と言うお医者さんもいるほど、乾燥対策には大きな効果を発揮すると考えられています。
巷ではシミや傷跡、ニキビ跡にも効果があると言われていますが、ヒルドイドはあくまで保湿や血行促進を目的としているため、その効果が立証されているわけではないようです。
ヒルドイドの効果的な塗り方は?
薬の効果をきちんと発揮させるためには、正しい使い方をすることが重要です。ここからは、ヒルドイドの効果的な塗り方について解説していきます。
清潔な状態で塗る
ヒルドイドを塗る時は、まずは手や患部を清潔な状態にしてください。保湿に使う場合、肌が潤っているお風呂上がりなどに塗るのが効果的とされています。放っておくと水分はどんどん蒸発してしまうため、なるべく入浴後5分以内に塗るようにしましょう。
お風呂上がり以外に塗る場合は、水や化粧水などで皮膚を軽く湿らせておくと、より高い保湿効果が得られると言われています。
手のひらで優しくすり込む
手や患部を清潔にしたら、保湿剤を取って肌に点在させてください。手のひら全体を使って、優しく丁寧にすり込んでいきましょう。
軟膏の場合、寒い時期は硬くなってしまうことがあるので、手で温めて柔らかくしてから塗るのがおすすめです。
使用頻度は1日1~数回
基本的には1日1~数回程度、朝起きた時や夜寝る前などに適量を塗るようにします。使用する頻度は症状によっても異なるため、お医者さんの指示に従ってください。
しっかりめに塗るのが大事
使用する量に関しても、お医者さんの指示がある場合はそれに従いましょう。一般的には、ややべたつく程度にしっかり塗るといいようです。ただし、皮脂の分泌が多い顔に塗る場合は、塗り過ぎないように注意してください。
また、塗る場所やタイミングによってヒルドイドの種類を使い分けるのも効果的。入浴後や就寝前はより保湿効果の高い軟膏やクリームを塗り、お化粧の前などはべたつきにくいローションタイプがおすすめです。
ヒルドイドの副作用や注意点は?
最後に、ヒルドイドの副作用や使う時の注意点について解説します。
かゆみや発疹など
ヒルドイドの主な副作用としては、かゆみやむずむずとした刺激感、発疹、皮膚の赤みなどが報告されています。
皮膚炎が起こる場合も
また、まれに皮膚炎などが起こる場合もあります。ヒルドイドを塗り始めてからこういった症状が起きた場合は、早めに医師や薬剤師などに相談してください。
血液の凝固を防ぐので要注意
ヒルドイドには血液が固まるのを抑える作用があるため、血友病や血小板減少症、紫斑病といった出血性血液疾患にかかっている人の使用は禁忌とされています。
ヒルドイドを正しく使って綺麗な肌に!
ヒルドイドの主な効果や正しい使い方、使用する際の注意点などを解説してきました。ヒルドイドはあくまでも医薬品のため、必ずお医者さんの指示に従って使用してください。
また、気軽に保湿ケアをしたい人には、ヒルドイドと同じヘパリン類似物質を含む市販薬もおすすめです。薬局やドラッグストアで手に入るので、今回ご紹介した製品などを参考に自分に合ったものを選んでみてくださいね。
ヒルドイドを使いたいと思っている人は、まずその特徴や効果、注意点などを正しく理解した上で、皮膚科や形成外科などで処方を受けてください。ヒルドイドを正しく使って、綺麗な肌を目指しましょう!